ムソルグスキー/展覧会の絵の試聴と楽譜
この「展覧会の絵」はムソルグスキーの親友であった建築家でもある画家ハルトマン(ガルトマン)の死を追悼する遺作展の後に書き上げた。ムソルグスキーはハルトマンのロシア、フランス、ローマ、ポーランド などを題材にした10枚の絵をモチーフした楽曲を、一気に作曲したと言われています。
モチーフの絵とに作られた楽章と楽章間に挟まれるプロムナードと呼ばれる間奏が楽章間を繋いでいます。このプロムナードは冒頭部を飾る雄大な曲でもあり、間を取り持つプロムナードは主題を前後の楽章を繋ぐに相応しく編曲した形。激しいものもあれば、繊細なイメージのプロムナードもあります。
またモチーフとなる絵のタイトルと楽章名が一致するかどうかはわかりませんが、暗喩す る絵があります。「ビドロ」という陰影とした曲ですが、意味としては「牛車、或いは牛舎」という意味で、この言葉には「虐げられた人民」といった意味があるそうです。確かに牛車からは 想像つかないような陰影とした響きと楽章の最後には叫びのような声が聞こえてきます。 あたかも虐待を受けている人が叫ぶような。
原曲はピアノで、編曲版としてはラベルが最も有名であることは周知のことです。
以前、アシュケナージがピアノ版、オーケストラ版、 フンテク版を続けて演奏するレーザーDISK販を購入しました。オケは勿論、アシュケナージ の指揮です。ラベル版は管楽器を効果的に使ったドラマティックな曲に仕上がってます が、フンテク版はおそらく管楽器は入っていないと記憶してますが、弦楽器のみの編成で す。(Amzonで探してみましたが、同じものは見つかりませんでした・・)
このフンテク版はロシア的な陰影とした雰囲気がよく出ており、味わい深い曲に仕上 がっています。厚ぼったい雲の下でモコモコも帽子をかぶった衛兵が聖堂の前で警護しているような、そういった光景が浮びます。
紹介するCDはホロヴィッツの演奏です。録音状態は時代が時代だけに、良くは無いですが、 「普通」では無い演奏が楽しめます。ホロヴィッツ・フリークの私としてはこのCDをオススメします。 他の曲もスゴイ!。「普通なんてクソ喰らえっ!」と言わんばかり。「のだめ」ちゃんを思い出します。 「ノーマル」な演奏がお好みであればポゴレリチなどが良いのでは?